ICL手術

2024.02.26

ICL手術を受けるとドライアイになりやすい?

ICLとドライアイについて

 

レーシックと違い、ICL手術はドライアイになりにくいとされています。そこで、この記事ではICL手術ではドライアイが起こりうるのかを解説します。この記事を読むと、ICL手術とドライアイについて深く分かるようになります。

 

ICLとは

 

ICL(Implantable Contact Lens)手術は、近視や遠視、乱視の治療を目的とした眼内レンズの埋め込み手術です。レーシック手術とは異なり、角膜の形状を変更するのではなく、レンズを水晶体の前に挿入することで裸眼視力が改善されます。この手術はレンズの取り出しが可能で、角膜に永久的な変更を加えることはなく、主に中等度以上の近視の治療に用いられることが多いです。また、ICL手術は角膜を削らない手術のため、角膜を削るレーシックよりもドライアイになりにくいとされています。

 

ドライアイとは

 

ドライアイは、涙の量が少なくなったり、その質が悪くなったりすることが原因となる病気です。目がゴロゴロする、目が乾く、目が充血する、物が見えづらいなど、様々な症状が見られます。コンタクトレンズやスマホ、パソコンなどの使用時間が増えたことで、さらに患者数は増えています。ドライアイの症状があるためコンタクトレンズを続けられない、あるいはドライアイがひどくなるためレーシックよりもICL手術をしたいという患者さんも少なくありません。

 

 

屈折矯正手術でドライアイになるのか

 

レーシックやICL手術など屈折矯正手術でドライアイのなりやすさに差はあるのでしょうか。

 

ICL手術によってドライアイになる可能性

 

ICL手術によってドライアイになる可能性はあるのでしょうか。結論から言えば、ICL手術によってドライアイになったり、ドライアイが悪化したりすることは基本的にはありません。ICL手術は、眼の中にレンズを入れることによって、近視などの視力矯正を行います。このレンズを入れる時に角膜を3mmほど切開します。とはいえ、非常に小さな傷口のため、涙の分泌量や質にはあまり影響しないとされます。

 

一方で、ICL手術によって涙の分泌も増えるわけではありませんので、ドライアイが改善することもありません。ただし、コンタクトレンズがドライアイの悪化原因であった場合は、ドライアイの症状が改善することがあります。

 

レーシックによってドライアイになる可能性

 

レーシックは角膜の形状を変えて、近視などを矯正する手術です。角膜の形状を変える際に、角膜の神経が一部切れるため、ドライアイになることがあります。症状には個人差があり、ドライアイの症状が強く出る方や、ドライアイがあってもそれを感じられない方など様々です。

 

しかし、角膜の神経は半年から1年ほどで通常は修復されていきます。また、一般的にドライアイの症状は、1週間から3ヵ月程度で改善しますが、なかには長期間ドライアイの症状が続く方もいます。必要に応じて保湿用の目薬などを使って治療することで、ドライアイの症状は改善することが多いです。

 

ドライアイの人はICL手術を受けられるのか

 

「目がゴロゴロする、目が充血するなどドライアイの症状があるため、ICL手術をすることができますか?」といった質問をいただくことがあります。そこで、この記事ではドライアイの人でもICL手術を受けることができるのかを解説します。

 

ドライアイの軽減を見込める

 

結論を言いますと、ドライアイの方でもICL手術を受けることは可能です。また、ICL手術はドライアイの治療にはなりませんが、コンタクトレンズをしていてドライアイ症状を感じていた方は、コンタクトレンズをしなくて済むようになるため、ドライアイ症状が軽減することがあります。

 

ドライアイ自体の完治は難しい

 

前述した通り、ICL手術は涙の量を増やしたり、涙の質を変えたりするような手術ではないため、ドライアイの症状を完治することはできません。

ドライアイはさまざまな原因によって引き起こされます。ICL手術をした後にも関わらず、ドライアイの症状がある場合は、コンタクトレンズ以外の原因を考える必要があります。原因を探すためには、患者と主治医とのコミュニケーションが重要ですので、ドライアイの症状を改善するために改めて相談するのが望ましいでしょう。

 

ICL手術後のリスク

 

ICL手術は目の中にレンズを入れる外科的手術です。ここではICL手術で起こりうる合併症について解説します。

ハロー・グレア

 

ICL手術後にハロー・グレア現象が起こることがあります。これは、ICLを挿入したことで生じる現象で、光の散乱や反射によって発生します。これらの症状は数週間から数か月で改善されることが多いとされています。夜間に運転される方は、街灯や対向車のライトが気になり、運転の妨げになることがあるため注意が必要です。

 

過矯正と眼精疲労

 

ICL手術を行うと、遠くのものがメガネなしでもよく見えるようになります。しかし、度数が強い場合は過矯正の状態になることがあります。過矯正の状態で近くのものを見ると、目が疲れる、目の奥が痛いなどの眼精疲労や頭痛、吐き気の症状が出ることがあります。

 

白内障

 

白内障は加齢や糖尿病などにより、水晶体が白く濁ってしまい、視力低下などの症状をきたす病気です。ICL手術では水晶体の近くにレンズを挿入するため、術後に白内障が起こることが稀にあります。以前用いられていたモデルのICLでは、100人いれば1-6名ほどが白内障になると報告されています。

しかし、中心部に孔がある現在主流のホールICLでは、白内障の発生率は0.49%と非常に低くなっていることが報告されています。ICL手術後に加齢などで白内障になった場合でも、ICLを取り出して通常の白内障手術と同じ様に手術が問題なく行えることが分かっています。

 

データの参考サイト:http://jscrs-icl.org/contents/complications.html 

 

緑内障

 

ICL手術を行うと、術後一時的に眼圧が上がる可能性があります。このため、術前から緑内障を指摘されている方は視野欠損が悪化する可能性があるため、手術は慎重に考える必要があります。 一方で、ICL手術後長期で見れば緑内障のリスクが高くなることはありません。

 

感染症

 

ICL手術では眼の中にレンズを入れるため、創口を作成します。ICL手術後すぐは、創口が完全には塞がっていないため、感染しやすいデリケートな状態です。手術後一定の期間内は、洗顔や洗髪を控えるなど日常生活の制限があります。眼の中に細菌などが感染することは稀ですが、合併症が起きた場合は点滴や手術で細菌を減らす治療が必要となります。

 

まとめ                                                       

 

視力を矯正する理由に、「コンタクトレンズをしているとドライアイの症状が強い」という理由があります。ICL手術はドライアイ自体を治す手術ではありませんが、手術を受けることでコンタクトレンズの使用がなくなりドライアイの症状が軽くなる場合があります。

しかし一方で、ICL手術は外科的手術であるため、他の合併症があることは知っておく必要があります。これらを踏まえたうえで、より良い選択ができる一助ができれば幸いです。

 

また、中京眼科のICL特設ページはこちらからご覧いただけます。