LAL
ご希望される方はこちら

ご予約カレンダーを確認
白内障目薬の種類とそれぞれの目薬の使い方

白内障目薬の種類とそれぞれの目薬の使い方

視力が下がったり、視界が白くぼやけたりして眼科を受診する方の中には、白内障と診断される方もいるでしょう。

 

白内障と診断されても、「できるだけ手術はしたくない」「白内障にはなりたくない」と考える人も多く、手術以外の方法での治療を希望する方も少なくありません。

目薬は白内障の進行を防ぐことが期待され、白内障用の目薬を使っている方もいらっしゃるでしょう。そこで、今回の記事では白内障の進行を防ぐ目薬について詳しく解説します。

 

白内障とは

 

白内障手術後の解説をする前に、白内障とはなにか、白内障手術の解説をします。

 

目の中にある水晶体が加齢などの原因により白く濁る病気を「白内障」と言います。60歳以降はその割合が過半数を占め、80歳以上はほぼ全員が白内障であるとされています。

 

白内障で濁ってしまう水晶体は、カメラのレンズと似た役割をしています。水晶体はピントを合わせたり、視界をきれいに映し出したりする役割があります。この水晶体は、もともと無色透明ですが、年齢とともに黄白色になり濁ってきます。その結果、「物がかすんで見える」「視界にモヤがかかっている」「車のヘッドライトがまぶしい」などの症状が出てきます。

 

白内障目薬の種類

 

現在、主に使われている白内障用の目薬はここで紹介する、ピレノキシンとグルタチオン製剤の2種類です。それぞれについて詳しく解説します。

 

ピレノキシン製剤について

 

トリプトファン、チロシンなどのアミノ酸が代謝される過程で、キノイド物質が発生します。このキノイド物質は、水晶体にある水溶性タンパク(水に溶けやすいタンパク質)の性質を変えてしまい、水に溶けにくくします。

 

この性質が変わったタンパクは白内障の原因とされています。ピレノキシンはキノイド物質のこの作用を弱め、水晶体の透明性を維持させることにより白内障の進行を抑制すると考えられています。

 

このピレノキシンが含まれるのが、ピレノキシン製剤です。この目薬は使う際によく振り混ぜ、1回1滴を1日3〜5回点眼します。この回数は白内障の程度などに合わせて、医師が決めますので、回数の指示に従ってください。

 

ピレノキシン製剤の主な副作用は、目薬に対するアレルギー反応であり、どの目薬にも一定の確率で起こりうる副作用です。また、ピレノキシン製剤に対するアレルギー反応がなければ、禁忌はないため比較的安全に使用することができます。

 

目薬の写真

 

グルタチオン製剤について

 

水晶体にはグルタチオンという物質があり、この量が減ったり、グルタチオンを合成する酵素の機能が低下したりします。これらが白内障の発症に関わるとされ、グルタチオンの投与により発症を防止したり、進行を防止出来ることが報告されています。

 

グルタチオン製剤は有効成分が入った溶液を溶かして使う必要があります。また、点眼回数はピレノキシン製剤と同じく、1回1滴を1日3〜5回点眼します。この回数は白内障の程度などに合わせて、医師が決めますので、回数の指示に従ってください。

 

グルタチオン製剤の主な副作用は、目薬に対するアレルギー反応であり、どの目薬にも一定の確率で起こりうる副作用です。また、グルタチオン製剤に対するアレルギー反応がなければ、禁忌はないため比較的安全に使用することができます。

 

白内障用の目薬の良い適応について

 

ピレノキシン製剤も、グルタチオン製剤も初期の白内障に対して使われます。初期の白内障は水晶体が濁り始めた状態で、症状がないことも多く、症状があったとしても多少かすんで見えたり、視力は軽く下がったりする程度です。

 

しかし、これら白内障の目薬は進行を抑えることが期待できるだけであって、白内障を治すことはできませんし、白内障の進行を完全にとめることはできません。白内障を根本的に治すためには手術治療が必要です。少しでも視力が下がったり、視界が白くぼやけたりした場合や、年齢が60歳を超えた方は初期の白内障の可能性があります。このいずれかに該当する方は眼科を受診して、白内障用の目薬の使用を検討されてみてはいかがでしょうか。

 

白内障用の目薬をしていても白内障が進行してしまったら

 

白内障用の目薬は、進行を抑えることが期待できますが、白内障は加齢とともに進行します。白内障が進行してしまい、白内障の症状が強く日常生活に支障が出ている場合、あるいは自覚症状がなくても放っておくと失明などのリスクがある場合には、白内障手術によって白内障を治します。

 

白内障の手術では白目と黒目の境目に、メスで小さな傷口を作ります。そこから目に器具を入れ、水晶体を超音波で砕いて取り除きます。代わりに患者様に合わせて選んだ人工のレンズを入れて、傷口をふさいだら手術は終了です。

 

白内障手術に用いる機器の進歩と術者の熟成により、白内障手術は以前よりも格段に安全に行われるようになりました。白内障手術を恐れる方も多いですが、主治医と相談して適切な選択をされることをおすすめします。

 

手術器具の画像

 

まとめ

 

白内障用の目薬は、白内障を治すと誤解されている方も少なくありません。白内障用の目薬はあくまで進行を抑えることが期待できる目薬です。もちろん、白内障用の目薬を使っていても白内障は加齢とともに進行してしまいます。白内障が進行すれば、白内障手術が唯一の治療方法です。主治医とよく相談し、適切な治療を受けるようにしてください。

この記事の著者

医療法人いさな会 中京眼科

医療法人いさな会 中京眼科

愛知県名古屋市にある眼科専門クリニック。一般眼科外来のほかに、特殊手術外来(多焦点眼内レンズ)、日帰り手術(白内障、緑内障、網膜硝子体、ICL(眼内コンタクトレンズ))、ドライアイ、近視進行抑制(オルソケラトロジー)、色覚外来など、全般的な疾患に対応しております。数多くの医療機器を揃え、白内障手術だけで年間約2,000件以上(2,733件/2022年)の手術実績があります。

関連記事