白内障を放置しておくと起こる3つの問題

白内障を放置しておくと起こる3つの問題

白内障とは

 

目の中にある水晶体が加齢などの原因により白く濁る病気を「白内障」と言います。水晶体はカメラのレンズと似た役割をしています。水晶体はピントを合わせたり、視界をきれいに映し出したりする役割があります。この水晶体は、もともと無色透明ですが、年齢とともに黄白色になり濁ってきます。その結果、「物がかすんで見える」「視界にモヤがかかっている」「車のヘッドライトがまぶしい」などの症状が出てきます。

 

白内障の進行速度

加齢に伴う白内障であれば、半年や1年単位で徐々に進行しますしかし、糖尿病やアトピー性皮膚炎など白内障を合併しやすい病気がある場合は、白内障の進行速度が早いことがあります。このように白内障の進行速度には個人差があります。加齢に伴う白内障であれば定期的に眼科を受診して、ご自身の進行速度を確認すると良いでしょう。

 

 

 

白内障を放置しておくと起こる3つの問題

 

問題①:白内障は失明の原因になる

 

白内障はその進行はゆっくりですが、放置していると視力は徐々に下がって、最終的には光を感じなくなることもあります。しかし、日本人の多くはその途中で眼科を受診し、白内障手術を行うため、失明に至ることはほとんどありません。

 

ところが、世界全体では、白内障が失明原因の1位となっています。これは発展途上国など医療機関にアクセスが悪い国や地域があるためです。このように白内障は放置すれば失明の原因となりえますが、眼科を定期的に受診していればその危険性はほとんどないでしょう。

 

問題②:他の目の病気の原因になる

 

初期の白内障ではほとんど心配ありませんが、白内障が進行するとさまざまな目の病気を引き起こす恐れがあります。

 

1.ぶどう膜炎

 

白内障が進行すると、その一部が溶けだし、目の中で強い炎症を引き起こすことがあります。このぶどう膜炎は視力が下がるだけでなく、強い痛みや充血といった症状を伴います。重症例では緊急手術が必要です。仮に手術がうまく行ったとしても、視力が下がる、光がまぶしいなど後遺症が残ってしまう恐れがあります。

 

2.緑内障発作

 

目の中には血液の代わりとなる栄養が解けた水、“房水”が流れています。また、白内障は進行するとともに、少しずつ水晶体が膨張することが知られています。ある程度まで水晶体が膨張すると、目の前方を循環している房水の排水口を物理的にふさいでしまうことがあります。その結果、房水がうまく排出されなくなることで目の圧力が上がり、目が硬くなります。硬くなった目は、目の後ろに付いている視神経を圧迫します。これが緑内障発作という状態で、視力が下がったり、視野が欠けたりすることがあります。特に、視野は一度でも欠けてしまうと、その部分は見えないままになってしまいます。  

 

問題③:適切な人工のレンズを選べない

 

白内障の手術をする時には、取り除いた水晶体の代わりに人工レンズを入れます。この人工レンズは患者様の目の形や状態によって決まります。手術をする前にこの人工レンズを選ぶのですが、選ぶ際にはいくつか検査を行います。この検査では目に光を当て、目の奥にある網膜との距離を測定する必要があります。しかし、白内障が進行していると、この検査の光が網膜に届かないことがあります。光が網膜に届かなければ、適切な人工レンズを選ぶことができなくなります。

 

その結果、白内障手術をしてもレンズが合わないので、視界は明るくなっても、ピントが合わず見えづらいままという方もいらっしゃいます。代わりの検査もあるのですが、その検査では誤差が出やすい場合もあるので十分ではありません。

 

このように白内障が進行すると、さまざまな目の病気を引き起こし、中には後遺症が残ってしまう方もいます。また、そのような目の病気が起こらなくても、白内障手術で適切なレンズを選べる確率が下がってしまいます。

 

豊富な眼内レンズのバリエーション

 

白内障眼内レンズには様々なバリエーションがあります。

中京眼科では以下のような患者様のご希望に合わせて眼内レンズを選びます。

 

□とにかく眼鏡は使いたくない

□近くの物をはっきりと見たい

□夜の運転をするので、まぶしくない方が良い

□手術をしてから度数を決めたい

 

中京眼科では以下の眼内レンズを取り扱っています。

 

  • 単焦点眼内レンズ
  • 多焦点眼内レンズ
  • 乱視用眼内レンズ

 

単焦点眼内レンズ

 

ピントが1か所に合うレンズです。遠くにピントが合うように設定すると、近くが見えにくくなりますが、遠くが見えるようになります。近くにピントが合うように設定すると、遠くが見えにくくなりますが、近くが見えるようになります。この場合、眼鏡を使用することで遠くも近くも見える状態にします。ずっと眼鏡を使用してきた人には、単焦点眼内レンズでも術後の生活で違和感が少なくなります。

 

多焦点眼内レンズ

 

単焦点とは違い、複数の距離にピントを合わせることができるレンズです。また、焦点の幅が広くなった「焦点深度拡張型」のレンズもあります。遠くから近くまで見える幅が広がるので、単焦点眼内レンズと比べると眼鏡をかける必要性が少なくなります。

 

乱視用眼内レンズ

 

乱視のある方には乱視用眼内レンズがあります。名称はトーリックレンズといい、白内障手術と同時に角膜乱視を矯正し、術後の乱視を軽減することができます。手術中に位置合わせが必要なため、通常のレンズよりやや時間がかかります。保険適用で手術を受けることができますが、すべての乱視が対象となるわけではありません。適応のある方は、診察の際、医師からご案内しております。

 

白内障の定期検査のすすめ

 

白内障は徐々に進行するため、その症状も徐々に出てきます。「徐々に見えづらくなってきた」「いつからかは分からないが、視界がかすんできている」など、このような症状があれば白内障を疑います。

 

 白内障の進行速度は半年から1年単位で徐々に進んでくるため、自覚症状をほとんど感じない患者様もいらっしゃいます。自覚症状があれば眼科を受診していることが多いと思いますので、適切なタイミングで手術治療を行えると思います。しかし、自覚症状がない患者様が眼科を受診する頃には、かなり白内障が進行していることも少なくありません。 

 

50歳頃から白内障の初期の変化が出始めることが多いので、50歳になったら眼科を定期的に受診して白内障の進行の有無を確認すると良いと思います。

 

定期的な検診

 

さいごに

白内障は手術をすれば、見え方は良くなることがほとんどです。しかし、中には白内障を放置してしまい、手術したのにもかかわらず後遺症が残ってしまう方もいらっしゃいます。「白内障の症状がでたかもしれない」と思ったら、眼科の定期受診を始めるようにしましょう。

この記事の著者

市川 慶 医師

市川 慶 医師

2008年愛知医科大学医学部卒業。2008年4月より社会保険中京病院にて勤務を開始する。2010年より中京病院の眼科を担当。2016年、Best of JSCRS(Cataract)受賞。2019年7月より総合青山病院にて眼科部長に就任。専門領域は白内障手術、眼形成。レーザー白内障手術、日帰り白内障手術執刀医として第一線で活躍している。

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