レーザー白内障手術とは?メリットや費用について解説
レーザー白内障手術は2008年にヨーロッパで行われて以降、日本をはじめさまざまな国で行われています。
現在は50を超える国で行われている手術で、その安全性からさらなる普及が期待されています。今回の記事ではレーザー白内障手術について、またそのメリットとデメリット、費用についてお話します。
目次
レーザー白内障手術とは
レーザー白内障手術は白内障手術をより安全に行うため、いくつかの工程でフェムトセカンドレーザーを用います。
フェムトセカンドレーザーは1000兆分の1秒の波長のレーザーで、とても強いレーザー強度となると同時に、より精度の高い手術ができるようになります。
角膜移植やLASIK手術などでも用いられていましたが、あくまで眼の表面にある角膜に対してのみの使用でした。
しかし、技術が進歩したことによって、眼の中にある水晶体にも対応できるフェムトセカンドレーザーが登場しました。
白内障手術はいくつかの工程に別れます。フェムトセカンドレーザーが対応できるのは、「水晶体嚢の前部分に5mm程度の丸い穴を開ける」「黒目(角膜)の縁を切開する」「核を細かく分割する」の部分です。
これ以外は手作業で行います。しかし、これら3つの工程は手術の成功、不成功に重要であり、いかに安全に行うかが重要となります。
レーザー白内障手術ができない方
残念ながらレーザー白内障手術は全員に行える手術ではありません。大きく3つの条件がありますので、1つずつ確認していきます。
1.目を大きく開けることができない
レーザー白内障手術では、レーザーを照射するためにpatient interface(PI)やサクションリングと呼ばれる接眼用の器具を用います。
これらは目を大きく開けて、白目に取り付ける必要があります。しかし、目を大きく開けられない方は、この器具を取り付けることが難しいのでレーザー白内障手術を行うことができません。
2.瞳孔が十分に開かない
白内障手術では、白内障を取り出す際に瞳孔を十分に開く必要があります。しかし、瞳孔の開きには個人差があり、中には瞳孔が十分に開かない方がいます。
人の手で行う白内障手術であれば、さまざまな器具を使って手術を行うことができます。
しかし、レーザー白内障手術において、瞳孔が十分に開いていないと、レーザーを正確に当てることが難しくなります。
3.角膜(黒目)が白く濁っている
角膜(黒目)は通常は透明です。しかし、角膜潰瘍や角膜ジストロフィーなどの病気が原因となって、角膜が白く濁ることがあります。
角膜が白く濁っていると、レーザーを正確に当てることが難しいため、レーザー白内障手術を行うことができません。
これら3つの条件は、手術直前によほどのトラブルがない限り事前に分かります。
レーザー白内障手術のメリット
レーザー白内障手術のメリットは大きく2つあります。
1.合併症のリスクを軽減し、早期の視力回復が期待できる
白内障手術には合併症の出るタイミングがあります。熟練した医師であっても、予期せぬトラブルが起こりえます。
例えば、白内障手術の成功には水晶体嚢の前部分に視線の中心の位置に5mm程度の丸い穴を開ける必要があります。手作業では時折、中心がややずれたり、きれいな丸にならない場合があります。
しかし、フェムトセカンドレーザーを用いれば、そのリスクを最小限にすることができます。目に対する負担が減れば、合併症が出にくいだけでなく、早期の視力回復が見込めます。
2.より精度の高いレンズ挿入が可能となる
現在、さまざまな種類の眼内レンズが登場しています。これら眼内レンズの効果を最大限に発揮するためには、より正確な白内障手術が求められます。
例えば、水晶体嚢の前部分に5mm程度の丸い穴も、その大きさが小さ過ぎても、大き過ぎてもいけません。
フェムトセカンドレーザーを用いれば、その大きさは一定になりやすく、レンズの効果を最大限に発揮することが可能となります。
レーザー白内障手術のデメリット
デメリットはほとんどありませんが、注意点がいくつかあります。
1.移動の手間があり、やや時間がかかる
人の手で行う白内障手術では、白内障手術中に移動することはありません。
しかし、レーザー白内障手術で用いる機械は特殊で、機種によっては手術中に移動をする必要があります。
また、レーザーを正確に当てるための時間がかかります。以上の理由から通常の白内障手術よりも5分ほど時間がかかります。
2.人の手による白内障手術に変更になる場合がある
基本的には起こらないトラブルですが、機械であるため、突然トラブルが生じることもあります。トラブルが生じた場合はメンテナンスは何日もかかることがあり、その場合は日程調整をするか、人の手による手術に変更になります。
レーザー白内障手術の費用
レーザー白内障手術は全て自費になります。施設によって代金は異なりますが、当院では単焦点眼内レンズだと片眼で約50万円、多焦点眼内レンズだと片眼で11万円がレンズ代に加算した費用がかかります。
保険による白内障手術は保険負担率にもよりますが、片眼2〜5万円前後ですので、より安全に行える手術に差額を払うことに価値を感じるかがレーザー白内障手術を選ぶポイントです。
おわりに
レーザー白内障手術は白内障手術による合併症の発生リスクを最小限にすることが期待されています。
最近は高機能な多焦点眼内レンズも登場し、効果を最大限に発揮するためには、より安全に白内障手術を終えることが重要になります。
レーザー白内障手術は高額ですが、白内障手術の選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。