白内障手術を選定療養で行う際に知っておくべきこと
「白内障手術は保険適応でできる」と思っている方もいれば、「手術代とは別に追加で多くの費用がかかる」と思っている方もいます。
確かに、白内障手術の費用は健康保険が使える場合もあれば、そうでない場合もあります。この費用は目に入れるレンズの種類や手術方法によって変わります。この記事では多焦点眼内レンズに関わる選定療養について解説します。
白内障手術について
選定療養について解説する前に、白内障と白内障手術について、簡単におさらいしましょう。
白内障では、加齢などの原因によって眼の水晶体という部分が濁り、光が眼の奥に届かなくなってしまいます。その結果、物がかすんで見えたり、視力が低下してしまいます。加齢が原因となるので、誰しもが発症しうる病気です。
白内障の進行を防ぐため、目薬などを処方する場合があります。しかし、根本的な治療は手術で、水晶体を取り除くしかありません。
特に、視力の低下によって日常生活に支障をきたしたり、メガネで矯正しても0.7を下回る方は手術を受けることを検討するのが望ましいでしょう。
また、白内障の手術では、取り除いた水晶体の代わりに「眼内レンズ」という人工のレンズを入れます。この眼内レンズには大きく2つの種類があります。1つは「単焦点眼内レンズ」と呼ばれるもので、焦点(ピント)の合う位置が1つです。
もう1種類は「多焦点眼内レンズ」と呼ばれるもので、これはピントの合う位置が2つから5つとさまざまな場所にピントが合います。白内障手術を希望する方は必ずこのどちらかの眼内レンズを選択します。
多焦点眼内レンズは選定療養?
単焦点眼内レンズを選択するのであれば、基本的に眼内レンズの料金は追加で発生しません。そのため、負担する保険の割合によって、支払う金額は変わりますが、単焦点眼内レンズを入れる白内障手術にかかる費用は一律です。
しかし、多焦点眼内レンズでは、レンズを入れる白内障手術の費用に加えて、多焦点眼内レンズ代を負担します。このように、健康保険に加入している患者さんが、追加費用を負担することで保険適用外の治療を、保険適用の治療と併せて受けることができる医療を「選定療養」と言います。
一部の多焦点眼内レンズも、2020年4月からはこの選定療養となりました。またこの制度では、手術前後の診察・検査・薬の費用は保険適応されます。
ただし、この選定療養の対象となる多焦点眼内レンズの種類は決まっています。具体的には、日本国内で承認されている眼内レンズのみが該当します。
多焦点眼内レンズでの白内障手術で自由診療になる場合
多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は、国内で承認された多焦点眼内レンズを選ぶと選定療養が使えて、手術費用には保険が適用されます。
しかし、国内で承認されている多焦点眼内レンズは限られており、最新の眼内レンズや、より焦点の多い眼内レンズは国内で承認されていません。
もちろん、国内で承認されていないから悪い眼内レンズというわけではありません。そのため、眼科クリニックではさまざまな多焦点眼内レンズを扱っています。
しかし、注意しなければならないのは、国内で承認されていない多焦点眼内レンズを選ぶと、手術費用も診察・検査・お薬代も全額自費になるということです。
また、レーザー白内障手術と言って、特殊なレーザーを用いると白内障手術をより安全で、安定して行うことができるとされています。このレーザー白内障手術を行う場合は、どのレンズを入れる場合であっても手術費用と眼内レンズ費用は全額自費になります。
白内障手術は選定療養と自由診療どちらが良いの?
このように多焦点眼内レンズでも、手術にかかる費用は大きく異なります。
その費用の差を見て、「白内障手術は自費診療の方が良いに違いない」と考えてしまう人が中にいます。
確かに、物の値段などは費用に応じて性能が上がることが多いですが、多焦点眼内レンズの場合はその限りではありません。
確かに、日本で承認されていないレンズの中にはピントの合う位置がより多かったり、見え方の質が良くなるケースもありますが、選定療養の多焦点眼内レンズも優れた物が多くあります。
あくまでこの費用の差は、日本で承認されているか、レーザー手術を併用するかの差です。費用ではなく、あなたの目に合うレンズを選ぶようにしましょう。
具体的な費用に関しては、健康保険の負担率やレンズの種類によって異なるため、注意が必要です。中京眼科の白内障手術費用に関してはこちらをご覧ください。
▶︎https://chukyo-eye.or.jp/expenses/
おわりに
このように多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は選定療養と自由診療があり、費用の計算が少し複雑です。
また、白内障手術の費用が高ければ良い手術、低ければ悪い手術というわけではありません。この記事を読むことで、選定療養のことが少しでも理解しやすくなれば幸いです。