Vivityレンズについて

Vivityレンズについて

この記事を読んでいるということは、「白内障手術を検討していて、目に入れる眼内レンズは多焦点眼内レンズにしよう」と思っている方でしょう。

 

しかし、多焦点眼内レンズはその種類も多く、焦点深度拡張型(以下、EDOF)レンズや2焦点、3焦点、5焦点などがあり、どれを選べば良いのか迷ってしまう方もいます。

 

そこで、この記事ではクラレオンビビティ(Clareon Vivity、以下Vivity)について詳しく解説します。この記事を読めばVivityという眼内レンズの原理、特徴、適応などについて分かります。

 

EDOFレンズについて簡単におさらい

 

Vivityは多焦点眼内レンズの1つで、非回折型のEDOF(焦点深度拡張型)の多焦点眼内レンズです。

 

このレンズについて理解するためには、EDOFレンズについて知っておく必要がありますので、簡単におさらいしましょう。

 

EDOFレンズは多焦点眼内レンズの1つです。多焦点眼内レンズはピントの合う位置が複数あります。そのため、白内障手術後は眼鏡を使うことは少なくなり、裸眼で家事や仕事、趣味など様々な事を行うことができるとされています。

 

一方で、EDOF(Expanded Depth of Field、イードフと読みます)レンズは、焦点深度拡張型眼内レンズとも呼ばれるレンズです。通常の多焦点眼内レンズは、光を散らすことで、複数の位置にピントを合わせています。

「従来型2焦点眼内レンズ」と「EDOF(焦点深度拡張型)」眼内レンズの違い

しかし、このEDOFレンズは光を振り分けることなく、見える範囲を拡張します。そのため、視力が出づらくなる範囲が狭くなるという特徴があります

 

Vivityとは

 

クラレオンビビティ(Clareon Vivity)は、ALCON社製の非回折型のEDOF(焦点深度拡張型)レンズです。アメリカでは、2020年から発売・使用されており、2023年に日本でも承認され使用されるようになりました。

 

VivityはEDOFレンズであり、波面制御X-WAVEテクノロジーという特殊な技術が使われている点が注目されています。この技術により、先行する波面と遅延する波面が同時に協調的に動くことで、連続的に焦点を拡張する技術が搭載されています。

 

このような技術によって、Vivityはこれまでの多焦点眼内レンズの最大のデメリットであった、見え方の質を単焦点眼内レンズにより近付けることが可能となりました

クラレオンビビティのレンズ

クラレオンビビティ

 

Vivityのメリット

 

①眼鏡をかける可能性が減る

 

VivityはEDOFレンズなので、白内障手術後に眼鏡無しで生活できる範囲が多くなります。単焦点眼内レンズはピントの合う位置が1つであるため、近くにピント合わせれば遠くを見るための眼鏡が必要なことが多いです。逆に、遠くにピントを合わせれば近くを見るためには眼鏡が必要なことが多いです。

 

一方で、EDOFレンズは特に遠くから中間の見え方に強いため、テレビを見たり、運転したりする際には眼鏡が不要になることが多いです。もちろん、EDOFレンズでも読書などの際に眼鏡を使うことになることはありますが、単焦点眼内レンズよりもその確率を下げることができます。

 

②コントラスト感度低下が少ない

 

Vivityは回折型の多焦点眼内レンズとは異なり、光を振り分ける仕組みのレンズでないため、見え方や色のコントラストを比較的維持したまま見えるとされています。

 

そのため、見え方の質が影響する、画家やイラストを扱う職業や趣味がある方にも通常の多焦点眼内レンズよりも適応する可能性が高いとされています。

 

③ハロー・グレアが少ない

 

回折型の多焦点眼内レンズのデメリットの代表的なものとして、暗所のハロー・グレア現象があります。特に、この症状は夜間運転時に支障が出る恐れがあります。

ハローグレア


しかし、Vivityは、夜間のハロー・グレア現象が少なく単焦点眼内レンズとほとんど見え方の質が変わらないと言われています。職業や趣味が車の運転で、特に夜間の運転が多い方が多焦点眼内レンズを選ぶ場合はVivityを選ぶと良いでしょう。

 

④他の目の病気があっても使える

 

回折型の多焦点眼内レンズは光を振り分けてピントを複数作るため、見え方の質が下がります。そのため、緑内障や加齢黄斑変性など、白内障以外の目の病気のある方は適応外となることが多くありました。

 

しかし、Vivityは光を振り分けないため見え方の質を下げにくいとされています。そのため、緑内障などの目の病気があっても、病気の進行度によっては単焦点眼内レンズと同じように使用することができるとされています。

 

Vivityのデメリット

 

Vivityは回析型レンズなど他の多焦点眼内レンズに比べて、近方が弱い場合があるとされています。特に、遠くにピントを合わせるとその可能性が上がってしまう恐れがあります。

 

もちろん、眼鏡を調整すれば見えるようになりますが、近くを裸眼で見たい方には向かない眼内レンズになります。ただ両眼の白内障手術をする場合には片眼をやや近方にピントを合わせる事でより近方でも眼鏡無しで見える可能性を高める事ができます。

 

また2023年8月時点では乱視矯正の機能を持ったVivityは販売されていないため残念ながら角膜の乱視が強い方は対象外となっています。

 

さいごに

 

Vivityは新しい多焦点眼内レンズであり、扱っている施設も限られています。そのため、インターネット上にも確かな情報が少ないので悩まれている方も多いでしょう。後悔のない眼内レンズ選びに、この記事が役立てば幸いです。

 

この記事の著者

市川 慶 医師

市川 慶 医師

2008年愛知医科大学医学部卒業。2008年4月より社会保険中京病院にて勤務を開始する。2010年より中京病院の眼科を担当。2016年、Best of JSCRS(Cataract)受賞。2019年7月より総合青山病院にて眼科部長に就任。専門領域は白内障手術、眼形成。レーザー白内障手術、日帰り白内障手術執刀医として第一線で活躍している。

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