コラム

2025.11.26

なぜ眼科の検査は多い?「毎回同じ検査」の理由と目の健康を守る早期発見の重要性

また同じ検査…

検査が多いのはなぜ?

眼科を受診される患者様から、このようなご意見をいただくことがあります。ごもっともな疑問です。

今回は、なぜ眼科では検査が多いのか、そしてそれが皆様の目の健康にとって、いかに大切かを分かりやすくご説明します。

眼科の検査が多いのは「早期発見」が命だから

眼科での検査が多い理由は、眼の健康や視力に関わる問題が非常に多岐にわたり、早期発見が重要だからです。

 

目の異常は、初期段階では自覚症状がほとんどなく、患者様ご自身が気づかないうちに深刻な状態へ進行してしまうことが多々あります。緑内障のように一度失われた視力は元に戻らない病気も多く、早期発見・早期治療が何よりも重要となります。

 

例えば、視力検査の他に、眼圧検査(緑内障のチェック)、視野検査(視界の欠けを確認)、眼底検査(網膜や視神経の状態を確認)など、様々な検査を組み合わせることで、一つの病気を見逃さないよう、目の状態を総合的に評価しています。

また、目は非常に繊細な器官であり、小さな異常でも放置すると視力の低下や失明の原因となることがあります。そのため、症状の有無にかかわらず定期的に複数の検査を行うことで、目の健康を維持し、問題があれば早期に対処することができるのです。

 

「毎回」視力検査を繰り返す、それ以上の理由

「なぜ視力検査を何度も繰り返す必要があるのか」と疑問に感じる方も少なくないと思います。

 

多くの人は、視力検査を近視や遠視、乱視の確認と考えています。しかし、視力検査にはそれ以上の目的があります。

眼科医にとって「視力」は、眼疾患の早期発見に欠かせない、最も重要な「警報」の役割を担っています。

 

通常、視力は安定していますが、自覚症状がない場合でも、視力の微妙な低下は、眼の内部で何らかの異常が起き始めたサインである可能性があるからです。比較的短時間で簡単に行える視力検査を毎回実施することで、早期に異変を察知する窓口としています。もし視力低下が見られた場合、医師はその原因を探り、必要に応じて追加の検査を行います。

特に検査頻度が高くなる「眼の状態が変動しやすい」時期

通常、眼の状態が安定していれば、頻繁に検査を行う必要はありません。「何か症状が現れたら受診してください」と指示される場合もあります。

一方で、状態が変動しやすい時期には、短期間で頻繁に検査を行う必要があります。

 

・急性緑内障発作や炎症性の病態

緊急性の高い病態では、状態の急変に対応するため、一日のうちに複数回、眼圧を測定することもあります。

・白内障や緑内障などの手術直後

術後1週間〜2週間は、眼圧の上昇、角膜の障害、感染症など、様々な合併症が起こりやすい非常にデリケートな時期です。万が一の早期発見と、わずかな状態の変化も見逃さないため、検査を省略するわけにはいきません。

最先端の医療で「見えなかったもの」が見えるように

近年、OCT(光干渉断層計)などに代表される新しい検査機器が開発され、眼科の診断能力は飛躍的に向上しました。

 

検査の種類が増えたと感じられるかもしれませんが、これらの機器は以前は発見が非常に難しかった病気の早期診断を可能にし、より正確で、患者様に負担の少ない治療へと繋がっています。

 

当院では、皆様により良い医療を提供できるよう、常に新しい検査機器を積極的に導入し、診断の精度向上に努めております。

まとめ

眼科の検査は、皆様の大切な視力と目の健康を守る「命綱」です。

検査一つひとつが、早期発見と適切な治療、そして将来の視力低下・失明という重大なリスクを防ぐために不可欠なステップとなります。皆様の安全と健康を最優先に考えた結果、どうしても検査が多くなることを、何卒ご理解いただけますと幸いです。

 

ご不明な点はいつでもお気軽にご質問ください。