コラム
2024.11.11
眼科の検査はなぜ多いの?
「行くたびに同じ検査をされる」
「検査は点数稼ぎだ」
など、ときどき、患者さんから検査について不満のお声をいただきます。
眼科での検査はなぜ多いのでしょうか。今回は眼科の検査が多い理由をご説明したいと思います。
眼科は検査が多過ぎる!
眼科での検査が多い理由は、眼の健康や視力に関わる問題が非常に多岐にわたり、早期発見が重要だからです。目の異常は初期段階では自覚症状が少ないことが多く、患者さん自身が気づかないまま進行することがあります。そのため、さまざまな検査を通じて目の状態を総合的に評価し、異常の有無を確認する必要があります。
例えば、視力検査だけでなく、眼圧検査や視野検査、眼底検査などは、それぞれが異なる眼疾患の発見に役立ちます。緑内障や白内障、網膜疾患などは、早期に発見されれば治療の効果が高いため、これらの検査は重要な役割を果たします。
また、目は非常に繊細な器官であり、小さな異常でも放置すると視力の低下や失明の原因となることがあります。そのため、症状の有無にかかわらず定期的に複数の検査を行うことで、目の健康を維持し、問題があれば早期に対処することができるのです。
なぜ視力検査を何度も繰り返すの?
「なぜ視力検査を何度も繰り返す必要があるのか」と疑問に感じる方も少なくないと思います。多くの人は、視力検査を近視や遠視、乱視の確認と考えています。しかし、視力検査にはそれ以上の目的があります。
眼科医にとって視力は眼疾患の早期発見をするための重要な指標となっています。通常、視力は安定していますが、眼の異常が生じると自覚症状がなくても視力が低下することがあります。そのため、視力検査は眼疾患の早期発見のための警報の役割を果たしているのです。
すべての眼科検査を毎回行うことは現実的ではありませんが、視力検査は比較的短時間で簡単に行えるため、毎回の診察で実施することが可能です。もし視力低下が見られた場合、医師はその原因を探り、必要に応じて追加の検査を行います。
視力検査だけですべての異常を見つけられるわけではありませんが、視機能に関わる部分の異常にはすぐに気づきやすく、コスト面でも優れていることが大きな利点です。
眼の状態が変動しやすい時期
通常、状態が安定していれば、頻繁に検査を行う必要はありません。「何か症状が現れたら受診してください」と指示される場合もあります。
一方で、状態が変動しやすい時期には、短期間で頻繁に検査を行う必要があります。例えば、急性緑内障発作の場合、毎日眼圧を測定することがあり、1日のうちに複数回測ることもあります。
手術後も、眼の状態が変動しやすくなります。特に手術後1週間以内の時期はまだ状態が変動しやすく、また、異なる機器を使えば測定結果に微妙な差が出ることもあります。そのため、検査を省略するわけにはいきません。
また、手術後1~2週間は、眼圧の上昇や角膜の障害、黄斑浮腫、感染症など様々なトラブルが起こりやすい時期です。近頃では、医療技術の進歩により深刻な合併症のリスクは大幅に減りましたが、それでも慎重な経過観察が必要です。
最先端の眼科医療と新しい検査機器
近年、眼科では新しい検査機器が増え、診断能力が飛躍的に向上しました。そのために検査の種類が増えていますが、これらの機器は、以前は発見が難しかった病気を容易に診断するために役立っています。当院は常に新しい検査機器を積極的に導入することで患者様へより良い医療を提供できるように努めています。
まとめ
眼科の検査は、患者さんの目の健康を守るために非常に重要です。これは早期発見と適切な治療のためであり、視力の回復が難しくなる重大なリスクを防ぐためです。
また、現代の眼科医療では、新しい検査機器が導入され、診断精度が大幅に向上しました。その結果、検査の回数が増えたと感じられることもありますが、これは以前は発見が難しかった病気を早期に診断するために不可欠なものと考えております。
患者さんの安全と健康を最優先に考えた結果、どうしても検査が多くなることをご理解いただければと思います。