ICL手術
2023.12.13
ICL手術の対象年齢は?目に病気がある方も受けられるのか解説
眼内コンタクトレンズ(ICL)を扱う病院も増え、マスコミで取り上げられることも増えたため、手術を希望される患者様も増えてきています。しかし、ICL手術は誰にでも行えるわけではありません。ICLには適した年齢や、手術が難しい体の状態(病気など)があります。そこで、この記事ではICLの対象年齢など、適応条件について解説します。
そもそもICLとは?
ICL手術の方法について
ICL手術は目薬を使用して麻酔を行います。手術中の痛みはほとんどありませんが、意識がある状態で手術を行います。麻酔が効いたことを確認したら、次に、眼に小さな切り込みを作ります。この切り込みから、レンズを眼の中に挿入します。レンズを所定の位置に入れたら、傷口が閉じていることを確認して手術は終了となります。この手術は、通常、両眼で20分〜30分ほどで終わります。
ICL手術にかかる費用は?
ICLは保険適応外の治療のため、手術費用は全額自己負担になります。いわゆる自由診療扱いとなるため、その費用はクリニックによって異なります。また、乱視の有り無しでレンズの費用は異なり、そこに検査代金などが上乗せされます。これらの理由から両眼で40〜80万円ほどとなります。手術を受ける予定であれば、事前に費用の確認は行うのが良いでしょう。
ICLを受けられる対象者は?
ICL手術をすれば、遠くの物がよく見えるようになります。しかし、希望される方全員が手術を受けられる訳ではなく、条件に当てはまる人がICL手術を行うことができます。この章ではICL手術が受けられる人と受けられない人に分けて解説します。
ICL手術が受けられる人
日本眼科学会の屈折矯正手術のガイドラインによれば、ICL手術は目の発達が落ち着く18歳以上で行うことが決められています。一方で、ガイドラインでは年齢の上限は決められていませんが、ICLは老眼や白内障が出てくると、その影響を受けるため、45歳前後までにするのが良いと思われます。医療機関によっては年齢の幅に若干前後しますが、ICL手術は20歳以上45歳前後までに行う方が多いです。
また、ICLは以前は6D以上の近視が良い適応とされていましたが現在はそれ以下の近視の方にも手術が可能です。ただし6D以下の度数であればレーシックなど他の治療を選ぶ場合があります。しかし、ICLは術後にドライアイになりにくいなどのメリットもあるため、どちらを選択するかは主治医と相談になります。
ICL手術を受けられない人
ICL手術が受けられる人について前の章で解説しました。しかし、条件に当てはまっていても、ICL手術を受けられない人がいます。次の大きく分けて4つの状態に当てはまればICL手術を受けられなくなります。
1つ目は、眼の空間が狭い人です。人によってはICLを入れる空間である「前房」と呼ばれる部分が狭い人がいます。その空間が狭い人に無理にICLを入れると眼圧が上がりやすくなるなど眼に良くない状態になるためICL手術を行う事ができません。
2つ目は、目の病気がある場合です。例えば、円錐角膜や白内障などが挙げられます。例に挙げた病気があるとICL手術を行うことができません。まずは、目の病気の治療に専念してください。
3つ目は、重度の糖尿病や重度のアトピー性皮膚炎など全身の病気がある場合です。これらは手術後の回復に時間がかかったり、あるいは合併症の原因になりうるためICL手術を行うことができません。
4つ目は、妊娠中または授乳中の女性です。女性の場合は出産前後でホルモンバランスが大きく変動します。ホルモンによって視力が大きく変わることがあるため、このような状況でICL手術は行いません。また、ICL手術後はステロイドの目薬を使用するため、これが胎児や乳児に影響する可能性もあります。
以上の4つの状態では、ICL手術を行うことができません。ご自身がこれらの状態に当てはまらないかどうかを確認しておくと良いと思います。
術後に起こりうるトラブルについて
ICL手術は、手術後にトラブルがないと思っている方もいます。たしかに、トラブルは多くはありませんが、様々なトラブルが起こりうるので知っておくと対処することができます。
ICL手術後でも老眼になるのか
ICL手術を行ったとしても、年齢とともに手元が見えづらくなることがあります。手元が見えづらくなるのは、ピントを調整する筋肉が衰えたためです。ICL手術後で遠くが見やすくなったことにより、これらの老眼の症状を自覚しやすくなることがあります。
ICL手術を受けたことで白内障や緑内障になるのか
ICL手術の合併症はいくつかあります。その中でも頻度は稀ですが、白内障や緑内障を引き起こす可能性があります。これは手術後すぐに起きることもありますが、時間が経つほど起こりやすくなります。そのため、手術後も定期的な診察が重要となります。
ICLは10年後どうなる?メンテナンスの必要性とは
定期的に診察を受ける
ICL手術は手術したら終わり、ではなく、むしろ定期的な眼科受診が必要です。診察の間隔は患者さんの状態によって異なりますが、当院では、翌日、2~3日後、5~7日目、1か月後までは毎週受診し、3ヶ月目、6ヶ月目に診察を受けていただいています。
目の中に入れたレンズは何年持つのか?
目の中に入れるレンズの寿命は人の寿命よりも長いとも言われています。そのため、基本的にはレンズの老朽化で見えづらくなることはありません。
ICLを取り出したいときは?
ICL手術のメリットの一つは再手術が可能なことです。そのため、思ったような見え方でなかったり、目に不具合を感じたりすれば再手術で目の中にあるレンズを取り出すことができます。
まとめ
メガネやコンタクトレンズを付けている人からすれば、ICL手術はとても魅力的な手術の一つです。しかし、誰でも行えるわけではなく、ICL手術を受けられる人、受けられない人がいます。
また、ICL手術を受けたら、その後も定期的に眼科受診が必要になります。目の中のレンズの寿命や再手術が可能なことが注目されがちですが、この記事を機に注意すべき点がもっとあるということを知っていただければと思います。
また、中京眼科のICL特設ページはこちらからご覧いただけます。