ICL手術

2024.02.19

ICL手術で合併症は起きるのか?視力の回復期間や注意点を解説

ICLとは

 

ICL(Implantable Contact Lens)手術は、近視や遠視、乱視の治療を目的とした眼内レンズの埋め込み手術です。レーシック手術とは異なり、角膜の形状を変更するのではなく、レンズを水晶体の前に挿入することで裸眼視力を改善します。この手術はレンズの取り出しが可能で、角膜に永久的な変更を加えることはなく、主に中等度以上の近視の治療に用いられることが多いです。

 

ICL手術で起こりうる合併症

 

ICL手術は眼の中にレンズを挿入する外科的手術です。そのため、合併症の可能性はゼロではありません。そこで、ICL手術で起こりうる合併症を6つ解説します。

 

ドライアイ

 

ICL手術はレーシックと異なり角膜を削らないため、レーシックよりもドライアイの発症は少ないとされています。しかし、手術後の目薬などによって軽度のドライアイを生じることがあります。

 

ハロー・グレア

 

ICL手術後にハロー・グレア現象が起こることがあります。これは、ICLを挿入したことで生じる現象で、光の散乱や反射によって発生します。これらの症状は数週間から数か月で改善されることが多いとされています。夜間に運転される方は、街灯や対向車のライトが気になり、運転の妨げになることがあるため注意が必要です。

 

 

感染症

 

ICL手術では眼の中にレンズを入れるため、創口を作成します。ICL手術後すぐは、創口が完全には塞がっていないため、感染しやすいデリケートな状態です。細菌などがその創口から入って増殖し、視力低下や疼痛、充血などをきたした状態を細菌性眼内炎と言います。頻度は2000〜4000人に1人とされています。

 

また、細菌が増えるまで少し時間がかかるため、手術後3日以内で起こることが多いとされています。しかし、中には遅れて発症する場合もあるため、手術後1ヶ月は特に注意が必要です。

 

細菌性眼内炎の発症を防ぐため、手術後一定の期間内は、洗顔や洗髪を控えるなど日常生活の制限があります。目の中に細菌などが感染することは稀ですが、合併症が起きた場合は点滴や手術で細菌を減らす治療が必要となります。

 

眼精疲労

 

ICL手術を行うと、遠くのものがメガネなしでもよく見えるようになります。しかし、度数が強い場合は過矯正の状態になることがあります。過矯正の状態で近くのものを見ると、目が疲れる、目の奥が痛いなどの眼精疲労や頭痛、吐き気の症状が出ることがあります。

 

 

白内障

 

白内障は加齢や糖尿病などにより、水晶体が白く濁ってしまい、視力低下などの症状をきたす病気です。ICL手術では水晶体の近くにレンズを挿入するため、術後に白内障が起こることが稀にあります。以前用いられていたモデルのICLでは、100人いれば1-6名ほどが白内障になると報告されています。

 

しかし、中心部に孔がある現在主流のホールICLでは、白内障の発生率は0.49%と非常に低くなっていることが報告されています。ICL手術後に加齢などで白内障になった場合でも、通常の白内障手術と同じ様に手術が問題なく行えることが分かっています。

 

データの参考サイト:http://jscrs-icl.org/contents/complications.html 

 

緑内障

 

ICL手術を行うと、術後一時的に眼圧が上がる可能性があります。このため、術前から緑内障を指摘されている方は視野欠損が悪化する可能性があるため、手術は慎重に考える必要があります。 一方で、ICL手術後長期で見れば緑内障のリスクが高くなることはありません。

 

手術後の視力

 

ICL手術をしてからどのくらいの期間で見えるようになるのか、思ったよりも見えづらい場合に再手術などが必要なのかについて疑問に思っている方もいるでしょう。この章では視力回復までの期間と追加矯正の必要の有無について解説します。

 

視力回復までの期間

 

ICL手術後当日は術後の炎症などの影響で、スッキリ見えないこともあります。手術後翌日は視力が1.0以上出る方も増え、時間とともにその割合は増えていきます。

 

追加矯正の必要有無

 

ICL手術を行った後に、思ったよりも遠くが見えづらい、あるいは眼精疲労の症状が強いと訴える患者さんがいらっしゃいます。その場合はレンズの交換を行い、度数の調整や乱視軸の調整を行う場合があります。

 

ICL手術後の注意点

 

ICL手術後は合併症やレンズの安定化のために、日常生活に制限があります。この章では、入浴、化粧、運転、運動に分けて、それぞれを解説します。

 

入浴

 

ICL手術では、眼の一部に創口を作り、レンズを挿入します。その創口は完全にふさがっているわけではありません。その創口部分から細菌などが眼の中に侵入する恐れがあります。そのため、肩から下のシャワーは翌日から可能ですが、洗顔や洗髪は目の中に水滴が多く入る可能性があるため、術後数日後から可能となります。

 

化粧

 

化粧は化粧する部位によって制限期間が異なります。目の周りを避ければ、手術後翌々日から可能ですが、洗顔をすることはできません。アイメイクなど目の周りの化粧は、術後1週間ほど経ってから可能となります。

 

運転

 

手術当日・翌日は自動車・自転車の運転は出来ません。運転の再開時期は手術後に主治医と相談してください。「見えているから」と自己判断で運転することがないようにしましょう。

 

運動

 

運動に関しては、散歩程度であれば翌日から問題ありません。。ゴルフ・その他の運動をされる方は、医師にご相談下さい。水泳や筋トレなどの激しい運動は、1ヵ月間は控えて下さい。

 

しかし、これら4つの生活制限の期間は目安です。患者さんの眼の状態によって、制限の程度や期間は異なります。詳しくは主治医の指示に従ってください。

 

まとめ

 

ICL手術で起こりうる合併症や手術後の日常生活の制限などについて解説しました。ICL手術後の合併症の可能性はゼロではありません。

 

また、患者さんにより多少の期間の前後はありますが、ICL手術を安全に終えるためには、手術中だけでなく、手術後の生活も非常に重要です。主治医の指示には必ず従いましょう。正しく合併症について理解し、日常生活の制限を守れば安全に行える治療です。この記事が皆さんの理解の助けになれば幸いです。

 

また、中京眼科のICL特設ページはこちらからご覧いただけます。