ICL手術

2023.11.01

ICL手術のメリット・デメリット|リスクについても詳細に解説

視力矯正手術は、近視、遠視、乱視などの視力問題を解決するための有効な手段です。その中でも、ICL(眼内コンタクトレンズ)は近年注目を集めています。しかし、そのメリットとデメリット、リスクについては十分に理解しておくことが重要です。本記事では、ICL手術の基本的な知識から、そのメリット・デメリット、そしてリスクについて詳しく解説します。

 

ICL手術の基礎知識

 

ICL手術について理解するためには、まずその基本的な知識から学ぶことが重要です。

 

ICLとは

ICL(Implantable Contact Lens)とは、眼内コンタクトレンズのことを指します。これは、眼内の水晶体と虹彩の間に挿入される人工の眼内レンズの一種です。ICLは、特に高度な近視や乱視を持つ人々にとって、視力を矯正するための有効な手段となります。また、ICLは取り外し可能な特性を持つため、必要に応じて度数を変更することも可能です。

 

詳しくは「ICL(眼内コンタクトレンズ)の全て: メリット・デメリット、費用からリスクまで」でも詳しく解説しています。合わせてお読みください。

 

ICL手術とレーシックは何が違う?

 

ICL手術とレーシックは、どちらも視力矯正手術の一種ですが、その手法と適応範囲には大きな違いがあります。レーシックは、レーザーを用いて角膜の形状を変えることで視力を矯正します。一方、ICL手術は、眼内にレンズを挿入することで視力を矯正します。そのため、レーシックが適応できない高度な近視や乱視、または角膜が薄い患者さんでも、ICL手術は適応可能となります。

 

レーシックとの違いについては「ICLとレーシックの違いを徹底比較:あなたに最適な視力矯正手術は?」でも解説しています。合わせてお読みください。

 

ICL手術のメリット

 

ICL手術には、以下の7つのメリットがあります。ここではこれらのメリットについて解説していきます。

 

  1. 1.レーシックで適応できない強度近視や乱視でも受けられる
  2. 2.手入れがいらない
  3. 3.レンズを入れ替えることができる
  4. 4.ドライアイになりにくい
  5. 5.手術時間が短く、仕事への復帰も早い
  6. 6.紫外線カット効果がある
  7.  

レーシックで適応できない強度近視や乱視でも受けられる

 

ICL手術は、レーシックで適応できない強度の近視や乱視でも手術を受けることが可能です。これは、ICL手術が眼内にレンズを挿入する手術であるため、角膜の厚さや形状に左右されず、また、矯正可能な度数の範囲が広いためです。

 

手入れがいらない

ICLは、一度眼内に挿入されると、日々の手入れが不要です。レンズは眼内に留まるため、コンタクトレンズのように毎日の装着や取り外し、洗浄の必要がありません。

 

レンズを入れ替えることができる

 

ICLは、必要に応じてレンズを取り出し、新しいレンズに入れ替えることが可能です。これは、年齢による視力の変化や、他の眼科疾患の発症に対応するためには有効な特性です。例えば、老眼が進行した場合や、白内障の手術が必要になった場合でも、ICLは取り外し可能なため、適切な治療を行うことができます。

 

ドライアイになりにくい

ICL手術は、術後ドライアイになりにくいとされています。これは、ICL手術の際に角膜の表面を切る範囲が小さくて済むためです。角膜の表面が傷つくと、涙の蒸発が増え、ドライアイの原因となります。しかしICL手術では角膜を削ることはなく、角膜表面への影響が少ないため、ドライアイのリスクが低くなります。

しかしICL手術は白内障手術時と同様に角膜の切開はするため、一過性または不可逆的にドライアイが進行する人も中にはいます。

 

手術時間が短く、仕事への復帰も早い

 

ICL手術は、手術時間が短く、仕事への復帰も早いというメリットがあります。手術自体は全体で30分程度で、全身麻酔ではなく局所麻酔で行われます。そのため、手術後の体調不良のリスクが低く、手術翌日から日常生活に戻ることが可能です。

 

紫外線カット効果がある

 

ICLは、紫外線をカットする効果があります。紫外線は、眼の老化を早める原因となり、白内障や黄斑変性などの眼科疾患のリスクを高めます。しかし、ICLは紫外線を90%以上カットするため、これらの疾患のリスクを低減します。

 

ICL手術のデメリット

 

ICL手術には多くのメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。

 

ハローやグレアがある

ICL手術後には、ほぼ全ての患者さんがハローやグレアを経験します。光源を見たときに光が広がって見える(ハロー)または光が眩しく感じる(グレア)現象のことです。これらの症状は殆どの場合、通常、手術後数週間から数ヶ月で気にならない程度まで自然に改善ていくことがほとんどです。

 

手術費用が高額である

 

ICL手術は、40万円から80万円ほどの費用がかかります。また健康保険が適用されない自由診療のため、結果的に大きな負担となります。この費用には、レンズの代金、手術費、検査費などが含まれ、これらは全て自己負担となります。クリニックによって費用に含まれるものが異なるので、確認するようにしてください。

 

手術まで時間がかかる場合がある

 

特殊な度数のレンズを必要とする場合や、レンズの在庫が国内にない場合は、手術までに時間がかかることがあります。レンズは海外で製造され、日本に輸入されているため、レンズの到着までに数ヶ月待つ場合があります。

 

白内障や緑内障・感染症のリスクがある

ICL手術は、白内障や緑内障、感染症などのリスクも伴います。これらのリスクはまれですが、ゼロではありません。手術前の検査で眼疾患の兆候がないかを検査することはとても大事です。また、手術後の適切なケアと定期的な検診により、これらのリスクは最小限に抑えることが可能です。

 

一定期間の準備期間がある

 

ICL手術を受ける前には、一定期間の準備期間が必要です。これは、手術前の検査やコンタクトレンズの装用中止など、手術後の満足度を上げるための重要なステップです。具体的には、ソフトコンタクトレンズの場合は手術の10日前から、ハードコンタクトレンズの場合は手術の3週間前から装用を中止する必要があります。

 

ICLはやめた方がいい?ICL手術のリスクと合併症について

 

ICL手術は、視力矯正手術の一つとして注目されています。しかし、全ての手術と同様に、ICL手術にもリスクが存在します。その中でも、術後の感染症は特に注意が必要なポイントです。

 

術後の感染症は、手術後に傷口から細菌が侵入し、眼内に炎症を引き起こす可能性があります。これは非常にまれなケースではありますが、発生した場合には抗生物質や消炎剤による治療が必要となり、症状によっては失明の危険があるため、レンズを取り出すことも考慮されます。

 

感染症を防ぐためには、術後のケアが重要です。術前・術後に指示された抗菌剤の目薬を適切に使用し、術後は特に清潔に注意し、無理に目をこすらないようにすることが大切です。

 

また、感染症だけでなく、炎症や角膜内皮細胞減少、高眼圧、緑内障、白内障などの合併症が起こる可能性もあります。これらが発生した場合には追加の外科的処置が必要となることもあります。

 

眼は非常にデリケートな器官であり、感染症などにつながる可能性もゼロではありません。そのため、手術を受ける前には、必ず医師の説明をしっかりと理解し、納得した上で手術を受けることが重要です。

 

ICLが向いている人/向いていない人

 

ICL手術は、全ての人に適しているわけではありません。ICLが向いている人と向いていない人について詳しく見ていきましょう。

 

ICL手術が向いている人

 

ICL手術が特に向いているのは、高度な近視や乱視を持つ人々です。また、角膜が薄いためにレーシックが適応でない人、ドライアイの症状がある人にもICL手術は適しています。さらに、年齢による視力の変化に対応したい人にもICLは有効です。

 

ICL手術が向かない人

 

一方、ICL手術が向かない人とは、眼内疾患(例えば、緑内障や網膜剥離の既往がある人)や全身疾患(例えば、自己免疫疾患や糖尿病など)などです。

 

また、妊娠中や授乳中の女性、または近く妊娠を予定している女性にもICL手術は適していません。これは、妊娠によるホルモンバランスの変化が視力に影響を及ぼす可能性があるためです。

 

さらに、ドライアイの症状が高度の場合はICL手術が適応でない場合もあるため医師と相談するのがいいでしょう。

 

まとめ

本記事では、ICL(眼内コンタクトレンズ)手術の基本的な知識から、そのメリット・デメリット、副作用やリスクについて詳しく解説しました。

 

ICL手術は、高度な近視や乱視を持つ方にとって有効な視力矯正手術であり、レーシックが適応でない方にも選択肢を提供します。また、ICL手術は取り出し可能で、紫外線をカットする効果もあります。

 

しかし、一方で、手術費用が高額であること、手術までに時間がかかる場合があること、そして白内障や緑内障、感染症などのリスクも存在します。これらの情報を踏まえ、ご自身の視力状況や生活環境、経済状況に照らし合わせて、ICL手術を受けるかどうかを検討してください。視力矯正手術は、自身の生活の質を向上させるための選択肢のひとつです。適切な情報と医師のアドバイスに基づいて、ご自身にとって最善の選択をしましょう。

 

また、中京眼科のICL特設ページはこちらからご覧いただけます。